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平素より大変お世話になっております。
岡野法律事務所の弁護士高橋佑典でございます。
さて、今回はパートタイマーや契約社員の方の労務関係をめぐる近年の法整備について、次の点をご説明したいと思います。
1. 差別禁止、通常の労働者との均等待遇
2. 正社員化推進のための措置、相談対応体制等
3. 期間の定めのない労働契約への転換
令和2年4月1日に短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(通称、パート有期法)が施行されました。
大企業における適用は同日、中小企業については令和3年4月1日からとなっておりますが、企業を経営されている方は、体制整備や就業規則の整備はお済みでしょうか。
このパート有期法では第8条、第9条に(パートや契約社員以外の通常の労働者との)差別禁止や通常の労働者との均衡待遇を定めた規定があり、職務内容・配置の変更の範囲・その他の事情の内容を考慮して不合理な待遇差を設けることが禁止されています。
具体的に許容される差異の程度などは、今後展開される裁判において基準が導き出されるところと思われます。
この法律の第14条第2項には、パートや契約社員の方から求めがある場合に、待遇の差異の内容や差異の理由について、事業主に説明義務が課されることになっているため、事業主からすると説明が困難な待遇の差異がないかどうかをチェックする機会とも言えるでしょう。
また、事業主には、パートや契約社員の方の正社員化を推進するために、会社の実情に応じて社内公募制度や登用試験制度などを設ける措置を講じる義務が定められたことにも今後注目したいところです(同法第13条)。
さらに、平成27年改正では、パートタイム労働者からの相談に対応するための体制整備の義務、相談窓口の周知義務が規定されました(同法第16条、同法施行規則第2条)。
施行から7年が経ちますが、今でもこの相談窓口制度について整備されていない事業者もあるかと思いますので(私の学生時代のアルバイト先にはありませんでした)、この点についての整備も行われているか確認してみてください。
この他のトピカルな労働法改正に、無期転換をめぐる法整備があります。
大雑把にいうと有期契約で通算5年以上働くと、労働者からの申込みにより、次回の労働契約が期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールです(労働契約法第18条)。
平成25年4月1日に施行された制度で、平成30年4月以降に無期転換申込権が行使されるようになりました。改正当時の前評判ほどホットな制度とはなっていないと感じておりますが、裁判例なども出されてきているところであり、今後の裁判例の蓄積を注視しておきたいです。
この無期転換申込権が使われた際、法律上はパートタイマー時や契約社員時の労働条件が無期転換後もそのまま継続することになりますので、使用者側は長期雇用を前提とした制度(休職、定年など)を「別段の定め」としてパートタイマー就業規則などに定めておくべきでしょう。
ご高覧いただきましてありがとうございました。
今後とも岡野法律事務所をご贔屓いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。